バーコードの「01」はどこの国を表すのか【結論】
商品パッケージのバーコードを見て、
先頭に「01」という数字が並んでいると、
「これはどこの国の商品なのだろう?」
と気になったことがある人は少なくありません。
特に、
海外製品や輸入品を手に取ったとき、
バーコードの数字が見慣れないと、
国名や産地と結び付けて考えてしまいがちです。
しかし、
結論から先に整理すると、
二桁の「01」だけで、特定の国を判断することはできません。
バーコードの番号は、
国名や製造国を直接示すために付けられているものではなく、
商品を世界共通の仕組みで管理するための
識別番号として設計されています。
そのため、
バーコードから国や管理主体について考える場合は、
数字の一部だけを見るのではなく、
バーコード全体のルールに沿って読み取る
という視点が必要になります。
具体的には、
バーコードの先頭は、
三桁(GS1プレフィックス)で整理するのが基本です。
先頭が「01」で始まるバーコードは、
三桁目まで含めて見ると、
010〜019という番号帯に含まれるケースが多くなります。
この010〜019は、
より大きな枠で見ると「0から始まる番号帯(0xx)」の一部であり、
GS1プレフィックスの一覧では、
001〜019(=0xxの一部)がGS1 US側の番号帯として扱われる
形で掲載されることが多い範囲です。
また、
この「0から始まる番号帯」は、
北米で長く使われてきたUPC(12桁のバーコード体系)との互換性とも関係が深く、
北米流通圏の歴史的な運用の流れを引き継いでいる番号帯として説明されることが多いのも特徴です。
つまり、
「01」という二桁だけでは意味を持ちませんが、
三桁まで確認することで、
どの体系・どの管理枠で番号が運用されてきたか
という目安を読み取れる可能性が出てきます。
ただし、
ここで注意しておきたいのが、
GS1プレフィックスは製造国や原産国を示す番号ではない
という点です。
GS1プレフィックスが示しているのは、
あくまで、
どのGS1組織・どの番号体系の管理下で事業者が番号を取得したか
という管理上の情報になります。
そのため、
010〜019だからといって、
「アメリカで作られた商品」
「アメリカ産の商品」
と判断することはできません。
この記事では、
バーコード先頭の「01」がどのように整理されているのか、
なぜ二桁ではなく三桁で見る必要があるのか、
そしてバーコードから分かること・分からないことの違いを、
順番に分かりやすく解説していきます。
先頭の数字に振り回されず、
バーコードを正しく読み取るための考え方を、
ここで一度整理しておきましょう。
010〜019はどこの国?三桁ごとの意味を整理
010〜019という三桁の番号を見ると、
「010はこの国、011は別の国、といったように、それぞれ違う国が割り当てられているのではないか」
と考えてしまう人は少なくありません。
特に、
バーコードの先頭三桁が「国番号」と呼ばれることもあるため、
三桁ごとに国名が決まっているような印象を持ちやすい点も、混乱の原因になっています。
しかし実際には、
010〜019は、それぞれ別の国を表している番号ではありません。
この範囲は、
GS1プレフィックスの考え方では、
「国別の区分」というよりも、
番号体系や管理上の枠としてまとめて扱われている番号帯
として整理されています。
010〜019は「国別」ではなく「管理枠」としての区分
GS1プレフィックスは、
世界中の商品を一元的に管理するための仕組みであり、
必ずしも「一つの番号=一つの国」という単純な対応関係で設計されているわけではありません。
実際には、
事業者数の多さや流通規模、過去のバーコード運用の歴史などを踏まえて、
一定の番号範囲をまとめて一つの管理枠として割り当てる
という考え方が取られています。
また、GS1の案内でも、
「GS1プレフィックスは原産国(製造国)を示すものではない」
という点が明確に注意書きとして示されます。
「国名に見えるから国を表す」と考えると、ここでズレが出やすいので注意が必要です。
そのため、
010、011、012…と番号が分かれていても、
それぞれが別の国を意味しているわけではなく、
同じ管理体系の中で使われる番号のバリエーション
という位置づけになります。
UPCとは何か|010〜019と深く関係する理由
ここで重要になるのが、
UPC(ユニバーサル・プロダクト・コード)というバーコード体系です。
UPCとは、
主にアメリカやカナダなど北米地域で長く使われてきた、
12桁のバーコード規格を指します。
一方で、
世界的に広く使われるEAN-13(13桁のバーコード)は、
GS1の識別番号(GTIN)の考え方に基づいて運用されており、
UPCとEANは別物というより、互換性を保ちながら共存してきたという歴史があります。
実務上も、
UPCはGTIN-12、EAN-13はGTIN-13として扱われ、
流通やデータ登録の現場では、GTINを14桁(GTIN-14)でゼロ埋めして管理するのが一般的です。
この「ゼロ埋め(先頭に0を足して桁をそろえる)」という運用があるため、
北米のUPC運用と国際標準側の運用をつなぎやすくなっています。
010〜019を個別に見た場合の意味合い
この前提を踏まえると、
010〜019を個別に見たときの位置づけは、次のようになります。
- 010:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 011:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 012:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 013:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 014:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 015:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 016:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 017:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 018:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
- 019:0xxの番号帯(北米系の運用と関係が深い範囲)の一部として使われる
このように、
三桁の数字自体は異なっていても、
国が分かれているわけではありません。
あくまで、
同じ番号体系・同じ管理枠の中で、
事業者数や番号割り当ての余裕を確保するために細かく分かれている、
という理解が適切です。
そのため、
「010はこの国、011は別の国」といった読み方は、
GS1やバーコードの仕組みとしては正しくなく、
三桁を見ても“原産国”が直接分かるわけではない
という点を押さえておくことが重要になります。
なぜ同じ体系なのに番号が分かれているのか
「010〜019は同じ管理体系に属しているなら、
なぜわざわざ番号を分ける必要があるのか」
と疑問に感じるのは、とても自然なことです。
国を表していないのであれば、
一つの番号帯にまとめても良さそうに思えますが、
実際にはそう単純な仕組みではありません。
番号が分かれている理由は、
国の違いではなく、管理・運用・そして歴史的な事情
に基づいています。
バーコードは、
単なる数字の並びではなく、
何十年も前から続く流通インフラの一部として、
将来を見据えながら設計されてきた仕組みです。
理由① 事業者数が多く、番号枠を分ける必要がある
北米流通圏、
特にアメリカでは、
バーコードを利用する事業者の数が非常に多くなっています。
食品、日用品、工業製品、医薬品など、
あらゆる分野でバーコードが使われており、
一つの番号帯だけでは、
将来的に番号が足りなくなる可能性が出てきます。
そのため、
GS1では最初から、
一つの番号帯にすべてを詰め込むのではなく、
複数の番号帯を用意して分散管理する
という運用を採用しています。
これは、
人口が多い地域で電話番号が不足しないよう、
市外局番を複数用意するのと、
非常によく似た考え方です。
番号を分けておくことで、
新しい事業者が増えても、
既存の番号体系を壊さずに対応できる、
つまり「後からルールを大きく変えずに拡張できる」というメリットが生まれます。
理由② UPCからEANへの移行という歴史的経緯
もう一つ重要なのが、
UPCからEANへの移行という歴史的な背景です。
北米では、
もともとUPC(ユニバーサル・プロダクト・コード)と呼ばれる、
12桁のバーコードが長年使われてきました。
一方で、
世界全体では、
EAN(13桁バーコード)が国際標準として広まっていきました。
この二つを統一する際、
既存のUPCを無効にしてしまうと、
流通やシステムに大きな混乱が生じてしまいます。
そこで採られたのが、
UPCとEANの互換性を保ちながら運用する、という考え方です。
実務ではGTINとして扱い、データ登録では桁をそろえるためにゼロ埋め(先頭の0を含む形)をする運用が一般的です。
この結果、
0から始まる番号帯が複数生まれ、
管理や割り当ての都合から、
010〜019のような範囲がまとめて使われる
形になりました。
つまり、
番号が分かれているのは、
後から人工的に分断されたというよりも、
過去の仕組みを尊重しながら拡張してきた結果
だと言えます。
理由③ 管理上の余裕と将来拡張を見据えた設計
GS1の番号設計は、
「今使えれば十分」という短期的な視点ではなく、
将来の拡張を強く意識して作られています。
今後、
新しい商品カテゴリーが増えたり、
事業者数がさらに増加したりした場合でも、
番号がすぐに枯渇してしまわないよう、
あらかじめ余裕を持った番号帯を確保
しているのです。
そのため、
現時点では「同じように見える番号」が複数存在していても、
それは無駄ではなく、
将来に備えた設計上の選択になります。
このような理由から、
010〜019という番号帯は、
国の違いを示すためではなく、
安定した運用と長期的な拡張性を確保するため
に分けられている、という点を理解しておくことが大切です。
バーコードの01から分かること・分からないこと
バーコードの先頭が「01」で始まっている場合、
二桁だけを見るのではなく、
三桁目まで含めて確認することが重要です。
三桁まで見ると、
010〜019というGS1プレフィックスの範囲(0xxの一部)に入ることになり、
ここから一定の管理上の情報を読み取ることができます。
ただし、
バーコードは万能な情報ではありません。
分かることと、分からないことがはっきり分かれている
という点を理解しておく必要があります。
01(010〜019)から分かること
バーコードの先頭三桁が010〜019の場合、
その番号は、
0xx帯(001〜019など)として整理される範囲に含まれる
という点がまず読み取れます。
GS1プレフィックスの一覧では、
001〜019(0xxの一部)がGS1 US側の番号帯として掲載されることが多く、
また、GS1の案内でも
「GS1プレフィックスは原産国(製造国)を示さない」という注意が明示されています。
つまり、ここから分かるのは「国名」ではなく、あくまで管理・登録の枠に関する情報です。
言い換えると、
その商品を扱う事業者が、
- 北米系の運用と親和性のある番号帯で番号を取得している可能性がある
- (一覧の整理によっては)GS1 US側の番号帯に含まれる範囲として扱われる
といった点までは推測できます。
この情報は、
流通システムや商品管理の仕組みを理解するうえでは意味がありますが、
商品の中身そのもの(産地や品質)を説明する情報ではありません。
01(010〜019)から分からないこと
一方で、
バーコード先頭が01(010〜019)で始まっていても、
次のような情報を判断することはできません。
-
実際の製造国
どの国の工場で製造されたかは、バーコードからは分かりません。 -
原材料の産地
原材料がどこから調達されたかという情報は含まれていません。 -
最終加工や組立が行われた場所
複数の国をまたいで製造工程がある場合でも、区別はできません。
たとえば、
バーコードが010から始まっている商品であっても、
実際にはアジアやヨーロッパの工場で製造されているケースは珍しくありません。
逆に、
アメリカ国内で製造された商品であっても、
別の国のGS1組織に登録していれば、
01以外の番号帯が使われることもあります。
このように、
GS1プレフィックスと製造国・原産国は一致しない
という点を理解しておくことが非常に重要です。
原産国や製造国を正確に知りたい場合は、
バーコードの数字ではなく、
パッケージに記載された原産国表示(Made in 表記など)
や、
製造者・輸入者の表示を確認するのが正しい方法です。
バーコードは、
あくまで商品を識別・管理するための番号であり、
国や産地を判断するための決定的な材料ではありません。
「01から分かること」と「01では分からないこと」を
きちんと切り分けて理解しておくことで、
バーコードの数字に過剰な意味を持たせず、
冷静に商品情報を読み取れるようになります。
まとめ|01は国名ではなくGS1の管理番号として理解する
バーコード先頭にある「01」は、
特定の国名や製造国を直接示す番号ではありません。
バーコードを正しく読み取るには、
二桁ではなく三桁まで含めて確認することが基本になります。
先頭が「01」で始まる場合、
三桁で見ると010〜019という範囲に含まれ、
この番号帯は大きく見ると0xx(001〜019など)の一部として整理されます。
一覧表では、
001〜019(0xxの一部)がGS1 US側の番号帯として掲載されることが多い一方で、
そもそもGS1プレフィックスは原産国(製造国)を示さないことが明確に注意されています。
したがって、ここから読み取るべきなのは「国名」ではなく、
あくまで管理・登録の枠としての情報です。
010〜019と複数の番号が存在する理由は、
国の違いではなく、
流通規模の大きさ、過去の運用経緯、将来の管理余地
といった、管理上の事情によるものです。
そのため、
「01だから特定の国の商品」
「010と019で国が違う」
といった読み方は、
バーコードの仕組みとしては正しくありません。
実際の製造国や原産国を知りたい場合は、
バーコードの数字だけに頼らず、
パッケージに記載された原産国表示や製造者・輸入者の表示
をあわせて確認することが重要です。
「01は国名ではない」
「GS1の管理番号として理解する」
この2点を押さえておけば、
バーコードの先頭数字に惑わされることなく、
商品情報を冷静に判断できるようになります。

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