バーコードの先頭が「7」で始まる意味とは?(結論:ロシアを含む旧ソ連圏)
スーパーやドラッグストアなどで商品を手に取ると、必ずバーコードが印字されています。その中でも、先頭の数字が「7」で始まる商品を見ると、「これはロシア製なのかな?」と疑問に思う方も多いでしょう。しかし結論として、バーコードの「7」=ロシア製ではありません。正しくは、GS1が管理する国際ルールにおいて、「7」から始まる番号帯はロシアを含む旧ソ連圏の企業が利用するプレフィックスであり、製造国ではなく企業コードの発行国を示す番号です。
つまり、商品が実際にどこで作られていたとしても、企業コードをロシア(GS1 Russia)で取得していれば、バーコードは必ず「7」で始まります。この仕組みを理解しておくことで、バーコードを見たときにより正確に意味を読み解けるようになります。
「7」はロシアを含む旧ソ連圏に割り当てられた番号帯
GS1プレフィックス「7」は、歴史的経緯によってロシアを中心とした旧ソ連圏(CIS諸国)に割り当てられている番号帯です。旧ソ連は、かつて広大な領土をひとつの経済圏として運用しており、物流・商品管理の仕組みも全体で統一されていました。そのため、ソ連時代に確立されたバーコードの割り当て体系が現在のGS1にも影響を与えています。
ソ連崩壊後、構成国はそれぞれ独立国家となりましたが、GS1コードをすべて分割・再登録すると企業や流通に大規模な混乱を引き起こすため、旧ソ連全体に割り当てられていた「7」帯を複数の国が継続して使用しているのが現状です。これにより、バーコードが「7」で始まっていても、ロシア企業だけでなく、周辺の独立国家の企業が取得したコードである可能性もあります。
実際に、GS1プレフィックスは国ごとの経済規模・企業数などを踏まえて配分されており、新しい国家が誕生した場合でも、番号帯の再割り当ては慎重に行われます。何千社もの企業が既に既存のコードで商品を流通させているため、番号帯の変更は莫大なコストと影響を伴うからです。そのため、現在も旧ソ連圏の複数国が「7」帯を使用しているというわけです。
なお、バーコードが「7」で始まる商品がどの国のGS1機関に企業コードを登録したものなのかを正確に知りたい場合は、GS1の公式情報を参照するのが最も確実です。GS1は世界共通のバーコードを管理している国際組織で、各国のプレフィックス一覧を公式に公開しています。
参考:
・GS1公式国番号一覧(英語):
https://www.gs1.org/standards/id-keys/company-prefix
・GS1 Russia(ロシアGS1協会):
このように、バーコード先頭の「7」はロシア圏の企業登録番号である可能性が高いものの、必ずしもロシア製とは限りません。旧ソ連圏は歴史的に番号体系を共有していたため、複数国が同じ番号帯を使っているという仕組みを理解しておくことが重要です。
バーコードの「7=ロシア製」とは限らない理由
市場では「バーコードが7で始まっているから、この商品はロシア製だろう」と考えてしまいがちですが、これは大きな誤解です。GS1プレフィックスが示すのは企業コードの発行国であり、製造国ではありません。 つまり、「7」が付いていても製造地とは無関係で、原産国を判断するための情報ではないのです。
具体的には、製造現場と企業の登録国が異なることはグローバルな流通では日常的に起こります。企業は自国でGS1コードを取得したうえで、コストや流通効率を考慮し、他国の工場で生産を行うことが珍しくありません。そのため、バーコードが「7」で始まるからといって、それがロシア国内の工場で製造されたことを意味するわけではないのです。
たとえば、次のようなケースが実際に起こり得ます:
- ロシア企業が中国の工場で製造 → バーコードは「7」(企業コードの登録国がロシアのため)
- 日本企業がロシアの工場で製造 → バーコードは「45」または「49」(企業コードの登録が日本のため)
- ロシア企業が東南アジアの委託工場で生産 → バーコードは「7」だが、実際の製造地はベトナム・マレーシアなどのことも
このような例から分かるように、GS1プレフィックスは物流・商品識別のための番号であり、製造国を示す情報とは完全に役割が異なります。バーコードは商品管理や在庫管理の効率化を目的としており、原産国の表記は法律によって別途パッケージ側に記載される仕組みです。
そのため、製造国を知りたい場合は、バーコードを見ただけで判断してはいけません。必ずパッケージの「原産国表示」を確認する必要があります。これは食品表示法や各国の消費者保護法によって義務付けられているため、最も信頼できる情報源となります。
また、近年はECサイトやフリマアプリで海外製品を購入する機会が増え、バーコードだけで商品を判断しようとするケースも増加しています。しかし、プレフィックスと製造国の関係を正しく理解しておくことで、誤解や誤認識を避け、より正確に商品を評価できるようになります。
つまり、「7」=ロシア製ではなく、「7」=ロシアや旧ソ連圏の企業が取得したコードというのが正しい理解です。製造国を知りたいときはバーコードではなくパッケージの情報を参照する——これが最も重要なポイントです。
GS1プレフィックスは「企業コードの発行国」を示す番号
EANバーコードは、世界で統一されたルールのもとで作られており、GS1プレフィックス(国番号)・企業コード・商品コード・チェックデジットという4つの要素で構成されています。このうち先頭に付くGS1プレフィックスは、商品に関する最初のヒントとなる数字ですが、その役割は多くの人が誤解している内容でもあります。
まず押さえておきたいのは、GS1プレフィックスは「企業コードをどの国で取得したか」を示す番号であり、製造国や原産国ではないという点です。たとえば日本の企業がベトナムや中国の工場で生産しても、企業コードを日本で取得していればバーコードは「45」または「49」から始まります。これは日本企業が海外製造を行う場合にごく一般的に見られるパターンです。
逆に、ロシア企業がコストの安いアジアの工場で製造した商品であっても、企業コードがロシア(GS1 Russia)で発行されている限り、バーコードは「7」で始まることになります。このように、GS1プレフィックスは「企業の法律上の登録・管理拠点」を表す仕組みであり、物理的な製造場所とは切り離されているのです。
この分離された仕組みは、世界中で商品を流通させるために欠かせないものです。もし企業が製造国ごとにバーコードを変えなければならないとしたら、海外工場を複数利用する企業やOEM商品を扱う企業は、膨大な管理コストと混乱を抱えることになります。そこで「企業コード発行国を基準に番号を統一する」というGS1方式は、国際物流の効率化を支える重要なルールとして定着しています。
また、消費者が誤解しやすいポイントとして「バーコードの国番号を見ると製造国が分かるのでは?」という思い込みがあります。しかし実際には、製造国は各国の法律に基づいてパッケージの原産国表示に記載される情報であり、バーコードとはまったく別の体系で管理されています。食品・日用品・化粧品など、ほとんどのカテゴリで原産国表示は義務化されているため、製造国を知りたい場合は必ずそちらを参照する必要があります。
この仕組みを理解しておくと、バーコードの数字を見て「なんとなく国が分かる気がする」といった曖昧な認識から脱却できます。GS1プレフィックスが示しているのは「この企業コードを発行したのはどこのGS1機関か」であり、商品がどこで作られたかとは直接結びつきません。つまり、バーコードは「企業の登録情報を示すID」であり、「製造国を判断するための情報」ではないということです。
こうした背景を理解しておくことで、バーコードの数字を正しく読み解き、商品がどの企業によって管理されているかを把握しやすくなります。それは同時に、輸入品や海外製品を選ぶ際の間違った解釈を防ぐことにもつながり、より正確に商品の背景を理解することができるようになります。
「7」で始まるバーコードを見たときの注意点
バーコードの先頭が「7」で始まっている商品を見つけると、「これはロシアの製品なのだろうか?」と考える人が少なくありません。しかしここまで解説してきたように、GS1プレフィックスの「7」は企業コードをどの国で取得したかを示すものであり、実際の製造国とは必ずしも一致しません。つまり「7=ロシア製」と判断するのは誤りであり、より慎重な確認が必要になります。
特に近年は、国際物流の多様化やOEM生産の増加、さらに越境ECの普及によって、企業が複数の国で製造を行うケースが一般的になっています。そのため、「7」で始まる商品でも、実際の製造地がロシアとは限らず、中国・ベトナム・ポーランドなど、まったく別の国で作られていることも珍しくありません。消費者としては、バーコードだけで判断を下さない姿勢が求められます。
代表的な注意点として、以下のポイントを理解しておくことが大切です。
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原産国表示と一致するとは限らないため、必ずパッケージの原産国ラベルを確認する。
原産国表示は法律で義務付けられている信頼性の高い情報です。バーコードは国際物流管理のための番号であり、原産国判断には使えません。そのため、「Made in〜」「原産国:〜」の表示を必ず確認しましょう。 -
個人輸入品や海外EC購入品は、表示が不十分で誤解しやすい。
個人輸入品では、日本向けのラベルが省略されていることがあり、企業コードの国と製造国の関係がさらに分かりづらくなります。また、海外の販売者が適切な情報提供をしていないケースもあるため注意が必要です。 -
まれに偽造バーコードが存在するため、正規ルートで販売されているかも確認が必須。
特に人気商品・高額商品では、偽造バーコードを貼り付けて正規品に見せかける手口が確認されています。見た目だけでは判断が難しいため、信頼できる販売店・公式ストアを利用することが最も安全です。 -
OEM商品(受託生産品)はバーコードの国と製造国が大きく異なることがある。
たとえばロシア企業が東南アジアの工場に製造を委託することは一般的です。この場合、バーコードは「7」でも、実際の製造国はまったく別の地域になります。OEM生産が多いジャンル(家電・日用品・食品)は特に注意が必要です。
このように、「7」で始まるバーコードは確かに旧ソ連圏で企業コードを取得した企業の商品である可能性が高いものの、それだけでは商品の背景を正確に判断することはできません。バーコードはあくまで「企業登録国」を識別するための技術情報であり、製造国・品質・安全性を直接示すものではありません。
特にネット通販やフリマアプリでは、販売者が海外から仕入れた商品をそのまま販売しているケースも増えており、原産国情報が曖昧な商品も少なくありません。そのため、バーコードだけで判断するのではなく、原産国表示・成分表・販売元情報など複数の情報を組み合わせて確認することが、安全に買い物をするうえで非常に重要になります。
バーコードのGS1プレフィックスを正しく読み解く方法
バーコードの数字を正しく読み解くためには、まずGS1プレフィックスが何を意味しているのかを正確に理解することがとても重要です。インターネット上には「この番号で始まるからこの国で作られている」という誤った解説が広く出回っており、特にSNSなどの情報は信頼性が十分でないことも多くあります。バーコードは国際的な物流システムの一部であり、製造国を判定するツールではありません。だからこそ、きちんとした情報源に基づいて判断する習慣を身につける必要があります。
GS1プレフィックスを正しく読み解くために有効な方法として、以下の3つを覚えておくと安心です。
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① GS1公式の国番号一覧を確認する
GS1は世界中のバーコードを管理している国際機関であり、国番号(プレフィックス)の公式一覧を提供しています。どの番号帯がどの国に割り当てられているかを確認できる最も信頼性の高い情報源です。
日本のGS1協会(GS1 Japan)の国番号一覧はこちら:
GS1公式プレフィックス一覧(GS1 Japan)
この一覧を確認することで、バーコードの先頭数字がどの国で企業コードを取得したものかを正確に理解できます。 -
② 製品パッケージの「原産国表示」を必ず確認する
原産国表示は、食品表示法や景品表示法などによって法律で義務付けられている情報です。
一方、GS1プレフィックスは物流管理のための番号であり、製造国を示す目的ではありません。そのため、同じ「7」のバーコードが付いていても、製造は中国・ベトナム・ポーランドなど別の国であることが普通にあります。
製造国を知りたい場合は、必ず原産国表示を見るという習慣が最も信頼できます。 -
③ 信頼できる販売元から購入する
偽造バーコードや不正なラベルを使用した商品の例は、国際的な市場では残念ながら存在します。特にネット通販や個人輸入では、正規ルートではない商品が混在している可能性があります。
正規販売店・公式ストア・メーカーの直販など、信頼できるチャネルで購入することが、正確な情報を得るうえで非常に重要です。
このように、GS1プレフィックスを正しく読み解くためには、バーコードだけに依存しないことがとても大切です。バーコードはあくまで「企業コードの発行国」を示すだけであり、製造国・品質・安全性を判断するための情報ではありません。
特に海外製品を購入する機会が多い現代では、複数の情報を組み合わせて確認することが、安全で納得のいく買い物につながります。
まとめ|バーコード先頭の「7」はロシアを含む企業登録国を示す番号
まとめると、バーコードの先頭が「7」で始まっている場合、それはロシアを中心とした旧ソ連圏の国で企業コードが発行されたことを意味します。あくまで「企業がどこでGS1コードを取得したか」を示すだけであり、商品が実際にどこの国で製造されたかを表す番号ではありません。製造国を正確に知りたいときは、必ずパッケージに記載されている原産国表示を確認する必要があります。
GS1プレフィックスは国際的な流通システムを円滑にするための識別用コードであり、商品の品質や安全性、原産地を保証する情報ではありません。この仕組みを理解しておくことで、バーコードに対して過度な誤解をせず、より冷静に商品情報を読み解けるようになります。また、輸入品が多い現代では、企業コードの発行国と製造国が一致しないケースも珍しくないため、複数の情報を組み合わせて確認する姿勢がより重要になります。
「7」の数字を見ただけでロシア製と断定したり、不安を感じたりするのではなく、本来の意味を知ったうえで商品をチェックする習慣を身につけることが大切です。正しい知識を持つことで、誤解によるトラブルを避け、安心して買い物ができるようになります。

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