「80ってどこの国?」と不安になったときに知っておきたい結論
スマホに「80」から始まる番号が表示されると、「これは国番号なの?」「海外からの詐欺電話?」と不安になりますよね。先に結論をお伝えすると、国番号としての「+80」は現在のところ存在しません。国際電話の国番号はITU(国際電気通信連合)が定めていますが、アジア地域を含む「8」から始まる番号の中に、単独で「+80」という国は割り当てられていません。
一方で、「80」に見えてしまう実在の国番号はいくつか存在します。たとえば、日本の「+81」や韓国の「+82」、中国の「+86」などです。これらはすべて「8」で始まるため、スマホ画面の表示が途中で切れていたり、通知欄が省略表示になっていたりすると、「+81」が「+80」に見えた、という勘違いが起きやすくなります。また、「+380(ウクライナ)」や「+880(バングラデシュ)」といった「80」を含む国番号もあり、表示の崩れ方によっては「80っぽく」見えることがあります。
さらに、国ではなくサービス向けの番号として、国際フリーダイヤルの「+800」や、共有料金サービスの「+808」といった「80」で始まる特別な番号も存在します。これらは特定の国ではなくサービスを表す番号であり、「80」に関係して見えるケースとして覚えておくと安心です。
この記事では、「80」に見える実在の国番号の一覧と、スマホの表示仕様による勘違いが起こる仕組み、そして詐欺電話やワン切りから身を守るためのチェックポイントを、できるだけやさしい言葉で整理して解説します。「よく分からないから怖い」という状態から、「仕組みを知っているから落ち着いて判断できる」状態になることが、このページのゴールです。
国番号「80」は存在しないが、「80に見える番号」はいくつもある
国番号の仕組みと「+80」が割り当てられていない理由
まず最初に押さえておきたいのは、「+80」という国番号そのものは、どの国にも割り当てられていないという事実です。
国際電話の国番号は、ITU(国際電気通信連合)が世界共通のルールとして管理しており、世界全体をいくつかの地域にグループ分けしたうえで番号が決められています。
たとえば、ざっくりとした傾向としては次のようなイメージです。
- 「1」台:北米地域(アメリカ、カナダなど)
- 「3」「4」台:ヨーロッパ地域
- 「6」台:オセアニア・南太平洋地域
- 「7」台:ロシア・周辺地域
- 「8」台:アジア諸国や一部の国際サービス番号
この「8」で始まる番号の中で、日本には「+81」、韓国には「+82」、ベトナムには「+84」、中国本土には「+86」、台湾には「+886」、バングラデシュには「+880」といったように、個別の国番号が割り当てられています。
一方で、「+80」という1つのまとまった国番号は、現時点では特定の国・地域に対して割り当てられていません。
ただしこれはあくまでおおまかな傾向を示したもので、実際には例外となる国や地域も存在します。
また、「8」で始まる番号の中には、国ではなく「国際サービス」用に使われている番号もあります。
代表的なものとしては、次のようなものが挙げられます。
- +800:国際フリーダイヤルサービス(UIFN)などに使われる番号
- +808:国際共有コストサービスなどに使われる番号
これらは特定の国を表す番号ではなく、「どの国からかけても同じサービスにつながる」タイプの国際サービス番号です。そのため、見た目としては「+80」で始まっているように見えても、「80という国がある」という意味ではありません。
このように、世界の番号体系の中に「+80」という国は存在しないものの、「8」で始まる番号や「80」を含む番号がいくつもあるため、着信画面や通知の表示のされ方によって「80の国番号?」と勘違いしやすくなっています。
「80」に見える実在の国番号・サービス番号の代表例
ここからは、実際に「80」に見えやすい実在の国番号・サービス番号を整理してみます。
いずれも実在の番号であり、スマホの画面表示やフォントの関係で「80?」と誤読されてしまうパターンが多いものです。
-
+81(日本)
海外から日本に電話をかけるときに使う国番号です。
例として、日本の携帯番号「090-1234-5678」に海外から発信する場合、実際の入力は「+81 90-1234-5678」となり、先頭の「0」を外して使います。
着信通知や履歴の画面が狭いと、「+81 90-1234…」の「1」が細く表示されて、「+80…」のように見えてしまうケースがあります。 -
+82(韓国)
韓国の国番号は「+82」です。現地の番号「010-XXXX-XXXX」へ日本からかける場合は、「+82 10-XXXX-XXXX」という形式になります。
スマホの通知バナーで番号が途中までしか表示されないと、「82」の「2」が見切れて「8〇」に見えたり、「+8…」だけが表示されて不安になることがあります。 -
+84(ベトナム)
ベトナムの国番号は「+84」です。こちらも「8」で始まるため、通知欄で後ろの数字が省略されると、「+8…」だけが目に入って「80?」と誤解されることがあります。 -
+86(中国本土)
中国本土の国番号は「+86」です。
中国の番号は桁数が多くなりやすく、着信画面や履歴では「+86 1X…」のような長い並びが途中で「…」に置き換わることがあります。
その結果、「+8」だけが見えて「80っぽい」「8から始まる得体の知れない番号」と感じてしまう人も少なくありません。 -
+850(北朝鮮)、+852(香港)、+853(マカオ)、+855(カンボジア)、+856(ラオス)、+886(台湾)
これらもすべて「8」で始まるアジア地域の国番号です。
実際には「850」「852」「853」「855」「856」「886」と3桁で構成されていますが、画面の表示幅が足りないと「+85…」「+88…」といった途中までの数字しか見えず、ユーザーの中で「80シリーズのどれか?」という漠然とした不安を生みやすい番号です。 -
+380(ウクライナ)
ウクライナの国番号は「+380」です。
画面の左側が切れてしまうような表示(小さいウィジェットや一部アプリの通知など)では、先頭の「3」が見えずに「+80…」だけが表示されることがあります。
このようなケースでは、「+80という国がある?」と誤解してしまっても無理はありません。 -
+880(バングラデシュ)
バングラデシュの国番号は「+880」です。
長い番号が画面の途中で折り返されたり、通知欄で数字列が省略されると、真ん中あたりの「80」だけが目につき、「+80?」と見えてしまうことがあります。 -
+800(国際フリーダイヤルサービス)、+808(国際共有コストサービス)
これらは特定の国を表す番号ではなく、国際サービス専用の番号です。
コールセンターやグローバルなサポート窓口などから着信があると、「+800」「+808」といった表示が出ることがありますが、「80の国」ではなく「サービスの種類」を表しています。
これらの番号は通常の国別の国番号とは異なり、複数の国から共通して利用される国際サービス向けの番号です。
数字だけをざっと見たときに「80から始まっている」と感じやすい代表例です。
このように、実際に表示されているのはあくまで「+81」「+82」「+86」「+380」「+880」「+800」「+808」などの実在する番号です。
多くの場合、スマホの画面上で番号の一部が切れていたり、省略表示(…)になっていたりすることで、「80」に見えているだけだと考えられます。
もし見慣れない番号から着信があった場合は、慌てて折り返すのではなく、着信履歴を開いてフルの番号を確認し、「+81」「+82」「+86」など実際の国番号がどれになっているかを落ち着いてチェックすることが大切です。
そのうえで、心当たりのない国や怪しい桁数の番号であれば、インターネットで番号を検索したり、そのまま着信拒否に設定する方が安全です。
スマホ表示・詐欺電話・ワン切り…「80」に見える番号への対処法
スマホの省略表示やアプリ経由で番号が崩れて見えることがある
スマートフォンでは、通知バナーやロック画面で電話番号が途中までしか表示されないことがよくあります。特に長い国際番号の場合、「+81」や「+880」のような先頭部分だけが目に入り、「80?」と勘違いしてしまうことが起こりがちです。また、050番号のIP電話アプリや、海外発信アプリを経由した着信では、アプリ側の仕様によって国番号の一部が省略される・並び順が変わるといった現象も報告されています。
さらに、一部の格安SIM(MVNO)や転送サービスでは、通信経路の仕組みにより「発信元番号」と「通知される番号」が一致しないケースが報告されることもあります。その結果、「実際には海外からの着信ではないのに、国際番号のような表示が出る」「その逆に、海外からの着信なのに国内番号っぽく表示される」といった紛らわしいパターンも存在します。
重要なのは、「通知欄で見えた数字だけで判断しない」ことです。必ず発信履歴や詳細画面を開き、フルの番号表示を確認する習慣をつけておくと、「80に見えたけど実は+81だった」といった誤解に振り回されにくくなります。
「80」に見える番号からの着信が危険なパターン
「80」に見える番号のすべてが危険というわけではありませんが、ワン切り詐欺や国際通話料金を狙った悪質な電話が紛れ込んでいる可能性もあります。特に、次のような特徴がある場合は要注意です。
- 心当たりのない国や地域からの着信が、数コールで切れる
相手に折り返し電話をさせるために、わざと短時間で切る手口です。折り返すと高額な国際通話料金が発生する可能性があります。 - 番号をネット検索すると、迷惑電話情報が大量に出てくる
番号検索サイトやSNSで「ワン切り」「詐欺」「高額請求」などの情報が多数出てくる場合は、すぐに着信拒否設定をするのが安全です。 - SMSでURL付きのメッセージが届き、「荷物の不在通知」「アカウント停止」などを装っている
いわゆるフィッシングSMSの一種で、海外サーバーのURLとセットで送られてくることがあります。リンクをタップすると、不正アプリのインストールや偽サイトへの誘導につながるおそれがあります。
これらに共通しているのは、「相手に行動させること」を目的とした不自然な連絡である点です。電話に出てしまったとしても、個人情報や認証コードを伝えない、不審だと感じたらすぐに切るといった対応が大切です。
安全に確認するためのチェックリストと具体的な対策
「80に見える番号」や、不審な国際番号からの着信に対しては、次のようなステップで落ち着いて確認していくと安心です。
- まず折り返さない
内容が分からない着信に対して、反射的に折り返す必要はありません。本当に重要な用件であれば、留守番電話やSMS、メールなど別の手段でも連絡が来ることが多いです。 - 発信履歴からフルの番号を確認する
通知バナーやロック画面の表示だけでなく、履歴画面を開き、国番号から最後の桁までしっかり確認します。そこで初めて、「本当に80なのか/81や82、880なのか」が分かります。 - 国番号を検索して発信元の国を調べる
「国番号 +81」「国番号 +880」のように検索すると、どの国からの番号なのか、比較的簡単に調べることができます。発信元の国にまったく心当たりがない場合は、基本的に折り返さない方が安全です。 - スマホの着信拒否・迷惑電話フィルタを活用する
iPhone・Androidともに、特定の番号をブロックする機能や、迷惑電話を自動で振り分けるアプリがあります。一度不審な番号だと判断したら、そのまま放置せずブロック設定まで行うと、同じ番号に何度も悩まされることがなくなります。
日常的にできる対策としては、「見慣れない海外番号からの着信は原則折り返さない」というシンプルなルールを家族内で共有しておくことが有効です。特にスマホに慣れていない高齢の家族がいる場合は、「80に見える番号=危険」ではなく、「よく分からない番号には自分から電話しない」という考え方を一緒に確認しておくと安心です。
まとめ|「80」は存在しない。正しい知識で国際電話トラブルを防ごう
ここまで見てきたように、国番号としての「+80」は現在割り当てられていません。それでも「80に見える番号」が存在するのは、実際には「+81(日本)」「+82(韓国)」「+86(中国)」「+380(ウクライナ)」「+880(バングラデシュ)」などの実在する国番号や、「+800」「+808」といったサービス番号が、スマホの表示や通知の仕様によって短く切り取られてしまうためです。
不安を減らす一番のポイントは、「通知欄の一部表示だけで判断しない」ことです。必ず発信履歴からフル番号を確認し、必要であればインターネットで国番号を調べてみましょう。そのうえで、心当たりのない国・不自然なワン切り・URL付きのSMSなど、怪しい要素が重なっている場合には、折り返し発信をしない・ブロックするという対応を取れば、トラブルの多くは避けられます。
国際電話は本来、海外に住む家族や友人・ビジネス相手とつながるための大切な手段です。「よく分からないから全部怖い」と避けてしまうのではなく、番号の仕組みと基本的な対策を知ったうえで、必要な連絡だけを冷静につないでいくことが大切です。今回の記事が、「80に見える番号って何だろう?」というモヤモヤを解消し、国際電話とのほどよい距離感を持つきっかけになればうれしいです。


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