バーコードが枯渇するって本当?原因と今後どうなるのかをわかりやすく解説
結論から言うと、いわゆる「バーコードが完全に使えなくなる」という意味での枯渇が、すぐに起こる可能性は高くありません。
ただし、商品数の増加や運用ルールの影響により、特定の条件下では「番号が足りなくなる」「新規取得が難しくなる」といった問題が起こり得るのは事実です。
バーコードの枯渇という言葉は、少し不安をあおるような響きがありますが、仕組みを正しく理解すれば、必要以上に心配するものではありません。
この記事では、バーコード枯渇とは何を指すのか、なぜそう言われるようになったのか、そして今後どうなっていくのかを、事実に基づいてわかりやすく解説します。
バーコード枯渇とは何を指すのか
バーコード枯渇という言葉は、「地球上のバーコード番号が物理的に全部なくなる」という意味で使われることはほとんどありません。
実際に言いたいのは、特定の規格や運用の枠の中で、新しく割り当てられる番号が足りなくなりやすくなる、という状態です。
つまり「世界が終わる」話ではなく、「ある枠の中でやりくりが難しくなる」話だと考えると、イメージがつかみやすくなります。
そもそも「枯渇」は“番号そのもの”ではなく“割り当ての余裕”が減ること
たとえば、会社やブランドが商品にJANコードを付けて管理するとき、番号は好き勝手に発行するのではなく、一定のルールのもとで割り当てられます。
このとき問題になるのは、「理論上の番号の総数」よりも、実務で使える番号の余裕がどれくらい残っているかです。
同じ会社でも、商品数が少ないうちは困りませんが、期間限定品や色違い、サイズ違い、セット商品、リニューアル品などが増えると、番号を消費する速度が上がります。
さらに一度世に出た番号は、流通や在庫、返品、古いカタログ、検索結果などの都合で、簡単に別の商品へ回して使い回すのが難しいことがあります。
この「使い回しにくさ」が積み重なると、体感として「番号が足りない」「新しい番号が取りづらい」という状態になりやすい、というわけです。
もう少し現場の感覚に寄せると、「番号が理論上なくなる」より先に、「番号を決めるときの社内ルールが窮屈になる」「新商品の企画段階で番号の残数を気にし始める」といった形で影響が出ます。
つまり枯渇は、数字の残量というより、運用の自由度が下がっていく現象として現れやすいのです。
日本でよく話題になるのは「JANコード」という商品識別のしくみ
日本の店頭やネット通販でよく見かける商品バーコードは、一般にJANコード(GTIN-13として運用されることが多い)として扱われます。
JANコードは、決められた桁数の中で、決められたルールに沿って番号を管理する仕組みです。
ここで重要なのは、JANコードが「無限に出せる番号」ではない、という点です。
桁数が決まっている以上、理屈の上では上限がありますし、さらに実務では「どこまでが自社に割り当てられた範囲か」「どういう単位で管理するか」といった運用の制約が入ります。
その結果、同じ規格の中でも、企業や団体、事業者の状況によっては枯渇に近い圧迫感が出ることがあります。
なお、JANコードの先頭の「45」「49」などは、しばしば「国番号」と説明されることがありますが、より正確にはGS1プレフィックス(GS1加盟組織が管理する番号帯)として理解するのが適切です。
つまり「日本でよく見かける45/49の番号帯は、日本のGS1加盟組織が管理する範囲で付番されることが多い」という意味合いになります。
この違いは細かいようで、記事の正確さを上げるうえでは大事なので押さえておきましょう。
なぜ最近「枯渇」という言葉が増えたのか
近年、バーコード枯渇が話題に上がりやすくなった背景には、単純に商品点数が増えたことがあります。
特に次のような変化が重なったことで、「番号を消費するペース」が上がりました。
-
EC市場の拡大
ネット販売では、店頭では扱わないニッチな商品や小ロット商品も流通に乗りやすくなり、登録点数が増えやすい傾向があります。 -
期間限定・コラボ・フレーバー違いの増加
同じシリーズでも「季節限定」「地域限定」「味違い」「デザイン違い」など、短期間で入れ替わる商品が増えると、その分だけ番号の発行も増えます。 -
バリエーション管理の細分化
サイズや色、容量、セット内容の違いを別商品として管理するほど、必要な番号が増えます。 -
小規模ブランドや個人事業の参入
参入が増えると、全体として新規に番号を必要とする場面が増え、枯渇という言葉が目につきやすくなります。
こうした要因が重なると、「世の中のバーコードがなくなる」というより、番号の運用が追いつきにくい局面が増えるという形で問題が見えやすくなります。
そのため、記事やSNSではインパクトのある表現として「枯渇」という言葉が使われることが増えた、と整理すると自然です。
さらに言うと、近年は「SKU(商品管理単位)」を細かく持つほど売りやすい、という流れもあります。
たとえば同じ商品でも、味や香り、容量、セット構成を増やすことで、ターゲットを広げたり、価格帯を調整したりできます。
この販売戦略自体は悪いことではありませんが、結果としてJANコードの消費は増えやすくなります。
「枯渇=明日から使えない」ではない点も押さえておく
バーコード枯渇は、あおり気味に語られることもありますが、多くの場合は「すぐにバーコードが使えなくなる」という話ではありません。
実際には、運用の工夫、桁数や体系の選び方、管理のやり方の見直しなどで、現場は回っているケースが多いです。
ただし、「新商品をどんどん増やす」「短期で入れ替える」「バリエーションを細かく分ける」といった戦略を取る事業者ほど、番号の設計と運用ルールを最初から考えておかないと詰まりやすいのも事実です。
ここを理解しておくと、「枯渇」という言葉を見たときに、必要以上に怖がらず、かといって油断もしない、ちょうどいい見方ができます。
たとえば、最初は小規模で始めたブランドでも、ヒット商品が出てシリーズ展開が進むと、あっという間に商品点数が増えます。
そのときに「番号が足りないからシリーズ展開が止まる」という事態は避けたいところです。
つまり枯渇は、成功したときにこそ現れる可能性がある、少しやっかいな論点でもあります。
バーコードが枯渇すると言われる理由
バーコードが枯渇すると言われる最大の理由は、JANコードの番号構造と、その運用ルールにあります。
JANコードは無限に自由発行できる番号ではなく、決められた桁数と割り当て体系の中で管理されているため、使い方次第では不足感が生まれやすい仕組みになっています。
JANコードの番号構造と割り当ての仕組み
JANコード(GTIN-13)は基本的に13桁で構成されており、運用上は大きく分けて「事業者を識別する部分」「商品を識別する部分」「チェックデジット」の組み合わせとして扱われます。
GS1の説明でも、GTIN-13は「GS1 Company Prefix(企業を一意に識別するプレフィックス)」「企業が設定する参照番号(アイテム参照)」「チェックデジット」といった構成で整理されています。
この中で特に重要なのが事業者を識別する部分(GS1 Company Prefix)と、商品を識別する部分(アイテム参照)のバランスです。
ざっくり言うと、自社に割り当てられる“企業を識別する部分”が長いほど、商品ごとに自由に使える桁が少なくなり、作れるGTINの数は少なくなります。
逆に、企業を識別する部分が短いほど、商品側に割ける桁が増えるため、作れるGTINの数は多くなります。
ここが誤解されやすいのですが、「小規模事業者ほど短い事業者コードで得をする」というより、実務上は必要とする商品点数に応じて、企業プレフィックスの桁(=作れる番号数の枠)が設計されるイメージに近いです。
そのため、最初の想定より商品点数が増えると「当初の枠では足りない」という問題が起きやすくなります。
つまり枯渇感の正体は、制度の破綻というより「最初に想定した事業計画と、番号設計のズレ」が表面化することでもあります。
小規模事業者ほど感じやすい「番号の上限」
小規模事業者向けの運用では、最初に想定する商品点数が少なめになりやすく、結果として「自由に使える商品側の桁」が小さくなるケースがあります。
最初は十分に余裕があるように見えても、実際に運用を始めると、想像以上に番号を消費していきます。
たとえば、同じ商品でも次のような違いがある場合、それぞれ別の商品として扱われます。
- 内容量が異なる(100ミリリットルと200ミリリットルなど)
- 色やデザインが異なるパッケージ
- 単品とセット商品
- 通常版と期間限定版
これらは消費者から見ると「ほぼ同じ商品」に見えることもありますが、
流通管理や在庫管理の観点では別商品として区別する必要があります。
その結果、1つのシリーズだけで複数のJANコードを消費することになり、
番号の残りが急速に減っていきます。
また、BtoB向けの取引では、取引先ごとの仕様違い(セット内容やラベル表記の差など)を求められることがあります。
この場合も、管理上は別商品として扱うことがあるため、JANコードの消費はさらに加速します。
1度使った番号が再利用しにくい理由
JANコードが枯渇しやすい理由の1つに、番号の再利用が難しいという運用上の現実があります。
理論上は、販売を終了した商品に使っていた番号を別の商品に割り当てることも可能に見えますが、実務では慎重な扱いが求められます。
商品の販売終了後も、流通現場には在庫が残っていることがあります。
また、過去の取引データ、レジシステム、売上分析、検索結果などに、古いJANコードが長期間残り続けるケースも珍しくありません。
この状態で同じ番号を別の商品に使ってしまうと、
レジでの誤読、在庫管理の混乱、売上データの混同といったトラブルが発生する可能性があります。
さらに重要な点として、GS1の考え方ではGTINは一度割り当てたら再利用しない(すべきでない)という原則が強く示されています。
つまり「再利用停止期間を過ぎたら自由に使ってよい」というより、現代の流通のデータ連携を前提にすると、再利用はリスクが大きく、原則として避けるべき、という立場です。
この前提があるため、実務的には「安易な再利用は避ける」という判断になりやすいわけです。
商品ライフサイクルの短期化が番号消費を加速させる
近年は、商品のライフサイクルが短くなっていることも、バーコード枯渇が意識される理由の1つです。
以前は、1つの商品が長期間販売されるケースが多く、JANコードの発行数も比較的安定していました。
しかし現在では、トレンドの変化が早く、数か月から1年程度で販売終了する商品も増えています。
販売期間が短くても、JANコードは1つ必要になります。
この「短命な商品」が大量に生まれることで、番号はどんどん消費される一方、回収されにくいという状況が生まれます。
加えて、SNSで話題になって一時的に売れる「バズ商品」も増えました。
こうした商品は、短期間に大量生産され、その後はすっと終売するケースもあります。
終売が増えるほど、番号は増えるのに再利用はしづらい、という構図が強くなります。
「枯渇しているように感じる」状態が生まれる仕組み
これらの要因を総合すると、バーコードが枯渇すると言われる背景が見えてきます。
実際には、世界中の番号が尽きるわけではありませんが、
- 使える番号の上限が事業者ごとの枠(桁配分)として現れる
- 商品バリエーションの増加で消費スピードが速い
- 割り当てた番号は原則として再利用しない前提で運用される
といった条件が重なることで、現場では
「もう新しい番号が取りにくい」「余裕がない」
と感じやすくなります。
これが、「バーコードが枯渇している」という表現につながっているのです。
つまり、問題の本質は番号そのものではなく、番号の設計と運用のバランスにあると言えます。
この点を理解しておくと、次に出てくる対策や今後の動向も、より現実的に捉えられるようになります。
実際にバーコードは本当に枯渇しているのか
結論から言うと、日本全体でJANコードが完全に使い切られているわけではありません。
制度上も運用上も、現時点で新規のJANコードが一切発行できなくなる状況にはなっていないとされています。
そのため、「近いうちにバーコードが使えなくなる」「新商品にバーコードを付けられなくなる」といった極端な心配をする必要はありません。
ただし、この話題が注目される背景には、実務レベルで起きている現実的な問題があります。
日本全体としてはJANコードに余裕がある
JANコードは、国際的な標準(GS1のGTIN体系)に基づいて管理されており、日本国内ではGS1の枠組みに沿って運用されています。
番号体系そのものが「日本全体で尽きかけている」という状況ではなく、全体としては運用が継続しています。
また、事業者が新たに識別番号を得て商品を識別できる仕組み自体も、基本的には継続して提供されています。
この点だけを見ると、「バーコード枯渇」という表現はやや誤解を招きやすいと言えます。
ここで大事なのは、「制度として破綻している」のではなく、「事業者ごとの枠の設計と運用が難しくなりやすい」という性質の問題だ、という点です。
ニュースの見出しはインパクトを優先しがちなので、現実の温度感を補正しながら読むと判断を間違えにくくなります。
問題は「事業者ごとの商品アイテムコード上限」にある
一方で、実際の現場では別の問題が起きています。
それが、事業者ごとに作成できる商品識別番号(GTIN)の数に、事実上の上限が生まれるという点です。
GTIN-13では、企業を識別する部分(GS1 Company Prefix)の長さに応じて、企業が自由に設定できる参照番号(アイテム参照)の桁が決まります。
参照番号の桁が少ない運用枠の場合、商品点数が増えると、早い段階で上限に到達しやすくなります。
特に次のような事業者では、この問題が顕在化しやすくなります。
- 短期間で商品点数が急増した企業
- 色違いや仕様違いの商品を多く展開しているブランド
- EC向けに少量多品種の商品を扱っている事業者
こうしたケースでは、「これ以上新しいJANコードを割り当てられない」
「次の商品を登録する番号が残っていない」
といった状況が、実際に起こり得ます。
「枯渇している」と感じるのは現場視点の問題
このように、バーコードが枯渇しているかどうかは、
全体の制度視点と、現場の運用視点で大きく意味が異なります。
制度全体としては運用が続いていても、特定の事業者の枠の中では、すでに限界に近づいている、あるいは到達しているケースがあります。
このギャップが、
「バーコードが枯渇しているらしい」
「もう新しい番号が取れない」
といった表現につながりやすくなっています。
完全に使えなくなるわけではない理由
重要なのは、商品識別番号を作る枠が厳しくなったからといって、事業活動そのものが止まるわけではないという点です。
運用枠の見直し、追加の識別番号の取得、商品構成の整理、社内ルールの再設計など、現実的な対応策は複数存在します。
そのため、「バーコードが完全に枯渇する」「今後はバーコードが使えなくなる」という理解は正確ではありません。
実態としては、これまでと同じ感覚で無制限に番号を使い続けることが難しくなってきている
という段階に入っていると考えるのが、最も現実に近い捉え方です。
この状況を正しく理解することで、次に考えるべき「事業者が取れる対策」や「今後の運用の変化」も、過度に不安を感じることなく整理できるようになります。
バーコード枯渇が企業や事業者に与える影響
バーコード番号が不足しやすくなると、企業や事業者の現場ではさまざまな影響が出てきます。
特に、新商品を企画してから市場に投入するまでの流れにおいて、
これまで意識せずに済んでいた番号管理の問題が表面化しやすくなります。
番号そのものが使えなくなるわけではありませんが、運用上の制約が増えることで、手続きや判断に時間がかかるケースが増えていきます。
新商品登録時に発生しやすい問題
バーコード枯渇が意識される場面として最も多いのが、新商品を登録するタイミングです。
企業側の参照番号(アイテム参照)の枠が上限に近づいている場合、「この商品に新しい番号を割り当てられるか」を事前に確認する必要が出てきます。
上限に達している場合は、運用枠の見直しや追加取得、既存商品の管理方法を見直すなど、追加の対応が必要になります。
これにより、商品登録のフローが複雑になり、企画から販売開始までのスピードが落ちることがあります。
特に、季節商品や期間限定商品を多く扱う業態では、「番号が足りるかどうか」が商品企画そのものに影響を与えるケースもあります。
また、流通側のシステム登録や取引先のマスタ登録の都合で、コードを確定させるタイミングが早くなりがちです。
すると、企画が変更になったときに「結局その番号は使わなかった」という事例が生まれ、番号消費が増える原因になります。
このように、枯渇問題は商品開発と事務手続きの連携にも影響します。
中小事業者や個人事業主への影響
中小事業者や個人事業主の場合、想定する商品点数が少ない前提で運用枠が組まれていることもあり、商品点数が増えると「枠がきつい」と感じやすくなります。
このような場合、商品点数が想定以上に増えると、
「あと何商品分の番号が残っているのか」
「この使い方で将来的に問題が出ないか」
といった判断が必要になります。
本来であれば商品開発や販売に集中したい場面で、番号の残数や管理ルールを気にしなければならず、事務的な負担が増えてしまう点は大きな影響と言えます。
また、追加で枠を広げる場合には、申請手続きや費用が発生するため、小規模事業者にとっては心理的なハードルになることもあります。
さらに、小規模事業者は外部の制作会社や印刷会社にパッケージ制作を依頼することも多いです。
その際に番号の確定が遅れると、パッケージ校了が遅れて納期に影響することがあります。
つまり「番号の残数」は、単なる内部管理ではなく、外注工程や発売日にも波及し得るのです。
大手企業と中小事業者で差が出やすい理由
一方で、大手企業の場合は、最初から商品点数の多さを前提にした運用を設計していたり、商品管理を専門に行う部署を設けているケースが多く見られます。
そのため、商品点数が増えても、番号枯渇の影響を受けにくく、計画的に運用できていることが少なくありません。
この違いにより、バーコード枯渇の影響は、企業規模が小さいほど強く感じられやすいという構造が生まれています。
直接的なトラブルよりも「管理の複雑化」が問題になる
バーコード枯渇による影響は、「突然バーコードが使えなくなる」といった劇的なトラブルではありません。
- 商品ごとの番号管理が煩雑になる
- 将来を見越した番号の使い方を考える必要が出てくる
- 商品企画の自由度がやや下がる
といった、じわじわとした負担として現れます。
このような影響を正しく理解しておくことで、次の章で触れる「事業者が取れる現実的な対策」も、より現場に即した形で考えやすくなります。
バーコード枯渇への具体的な対策
バーコード枯渇への対策は、「特別な技術を導入すること」よりも、今使っているバーコードをどう管理し、どう使い切るかという視点が重要になります。
多くの事業者にとって、現実的かつ効果の高い対策は、日常の運用を見直すことから始まります。
ここでは、実際に多くの事業者が取っている、無理のない対応策を整理していきます。
商品管理ルールを見直して番号消費を抑える
最初に取り組みやすい対策が、商品管理ルールの見直しです。
特に、商品参照番号(アイテム参照)をどのような基準で割り当てているかを整理することで、不要な消費を防げるケースがあります。
たとえば、すでに販売終了している商品や、社内資料上だけに残っている商品が整理されていないと、「実際には使っていないのに番号だけ消費している」状態が生まれます。
- すでに販売終了している商品
- 今後再販予定のない商品
- 登録だけされて使われていない商品
を把握することで、管理の無駄を減らすことができます。
このような整理を行うだけでも、バーコード枯渇への不安はかなり軽減されます。
ポイントは「整理=番号を再利用する」ではなく、「整理=現状を正確に把握して、今後の設計を間違えない」ことです。
今どれだけ残っていて、どんな商品が番号を食っているのかが分かるだけで、次の打ち手が見えてきます。
将来を見越して運用枠を選ぶという考え方
これから商品点数が増える可能性が高い事業者の場合、将来を見越して「作れる番号数の枠」を確保しておくことも有効な対策です。
短期的なコストだけで判断すると、将来的に制約が出ることがあります。
- 商品点数が多い
- バリエーション商品が多い
- 期間限定商品を頻繁に出す
といった業態では、結果的に管理が楽になり、中長期的なコスト削減につながるケースもあります。
「今足りているか」だけでなく、「数年後どうなっているか」を考えて選ぶことが重要です。
特にECが中心の事業者は、商品登録のスピードが売上に直結します。
番号の都合で登録が止まるのは機会損失になり得るので、ここは「保険」として考える価値があります。
バーコードの使い回しが推奨されない理由
バーコード枯渇の話題とセットで出てきやすいのが、「使わなくなったバーコードを再利用できないのか」という疑問です。
しかし、GTIN運用の考え方では、一度割り当てた番号を安易に使い回すことは推奨されません。
その理由は、流通現場での誤認識を防ぐためです。
たとえば、過去に使われた番号を別の商品に割り当てた場合、小売店のシステムや在庫データ、過去の販売履歴と混同される可能性があります。
特に、ネット通販やPOSシステムでは、過去データが長期間残ることが多いため、番号の再利用はトラブルの原因になりやすいのです。
「じゃあ、いつなら再利用できるのか」という疑問は自然ですが、ここは業界全体のデータ連携の問題なので、個社の都合だけでは決めにくい部分があります。
だからこそ、最初から「使い切る設計」をしておくことが、遠回りに見えていちばん確実です。
対策の本質は「正しく恐れて、正しく管理すること」
バーコード枯渇への対策で大切なのは、必要以上に不安になることでも、無理に新しい仕組みに飛びつくことでもありません。
- 今使っているバーコードの仕組みを理解する
- 商品と番号の関係を整理する
- 将来を見越した運用を考える
という、基本的な管理を丁寧に行うことです。
これらを意識するだけで、バーコード枯渇は「怖い問題」ではなく、事前に対応できる管理上の課題として捉えられるようになります。
2次元コードは解決策になるのか
バーコード枯渇の話題になると、必ず出てくるのが「QRコードなどの2次元コードを使えば解決するのではないか」という疑問です。
確かに、2次元コードは扱える情報量が非常に多く、理論上は番号が足りなくなる心配はほとんどありません。
しかし現実には、JANコードの代替として2次元コードが全面的に使われているわけではありません。
そこには、単純に「情報量が多いか少ないか」では片付けられない事情があります。
QRコードは情報量が多く枯渇の心配がほぼない
QRコードをはじめとする2次元コードは、文字情報やURL、管理番号などを一度に大量に格納できる仕組みになっています。
そのため、番号の組み合わせが限られているJANコードとは異なり、「番号が足りなくなる」という概念自体がほぼ存在しません。
実際に、QRコードは商品の詳細ページへのリンクや、キャンペーン情報、トレーサビリティ情報の表示など、JANコードでは対応しきれない用途で活用が広がっています。
この点だけを見ると、バーコード枯渇の問題を2次元コードで解決できそうに感じるのも無理はありません。
JANコードと2次元コードは役割がそもそも違う
重要なのは、JANコードと2次元コードは、同じ「コード」であっても役割が異なるという点です。
JANコードは、流通全体で共通に使われる商品識別のための番号として設計されています。
レジ、在庫管理、発注、物流など、多くの仕組みがこの番号を前提に連動しています。
一方、2次元コードは、情報を柔軟に持たせることができる反面、「流通全体で共通の番号」として単純に置き換える運用は簡単ではありません。
同じ商品でも、表示したい情報(URL、ロット、期限、シリアルなど)によってコード内容が変わり得るからです。
つまり、JANコードは「共通言語」、2次元コードは「情報の入口」という位置付けに近く、単純に置き換えられるものではないのです。
レジや在庫システムがJANコード前提で動いている現実
もう一つ大きな理由が、現場のシステムです。
現在の小売店や物流現場では、レジシステムや在庫管理システムの多くがJANコードを前提に設計されています。
- レジ機器の入れ替えや設定変更
- 在庫管理システムの改修
- 従業員への運用教育
といったコストと時間が必要になります。
特に全国規模の流通では、一部だけを変更することが難しく、一斉対応が求められるため、慎重にならざるを得ません。
当面は「JANコード+2次元コード」の併用が現実的
こうした背景から、現時点ではJANコードを完全に廃止し、2次元コードへ全面移行する動きは現実的ではありません。
- レジや在庫管理はJANコード
- 追加情報や消費者向け案内は2次元コード
という形で、役割分担をしながら併用されるケースが増えています。
バーコード枯渇の問題も、2次元コードだけで一気に解決するというより、JANコードの運用を見直しつつ、補完的に活用するという方向で対応されていく可能性が高いと考えられます。
2次元コードは「解決策」ではなく「補助線」と考える
2次元コードは確かに便利で、今後さらに活用範囲は広がっていきます。
ただし、バーコード枯渇に対しては、「すべてを解決する万能な代替手段」というより、運用を支える補助的な仕組みとして捉える方が現実的です。
JANコードの仕組みを理解し、必要に応じて2次元コードを組み合わせる。
この考え方が、現在の流通環境に最も合った対応と言えるでしょう。
今後バーコードはどうなっていくのか
「枯渇」という言葉が気になる人ほど知りたいのが、結局この先どうなるのか、という点だと思います。
結論としては、1次元バーコード(JANコード)が急に消えることは考えにくい一方で、2次元コードの活用が増え、情報の持たせ方が変わっていく可能性は高いです。
JANコードは“なくなる”より“役割が整理される”方向に近い
JANコードは「商品を一意に識別する共通番号」として、長年の実績があります。
この強みは、レジや物流でのスピード、安定性、運用のシンプルさです。
そのため、今後も流通の基盤として機能し続ける可能性は高いです。
一方で、賞味期限やロット番号、シリアル番号など、より細かい情報を流通で扱いたい需要は確実に増えています。
こうした情報は、13桁のJANコードだけでは表現しきれないため、2次元コードやデータ連携が必要になります。
つまり今後は、JANコードが「中心」から「土台」へと位置づけが整理され、必要な場面では2次元コードが上に乗る、という形になりやすいのです。
世界的には2次元コードの読み取りを前提にした移行の動きもある
GS1の流れでは、レジで2次元コードを読み取れる環境を整えていく「Sunrise 2027」という考え方が示されています。
これは「2027年に突然切り替える」というより、その頃を目安に、世界の小売POSで2次元コードも当たり前に読める状態を目指すというニュアンスに近いものです。
重要なのは、ここでも「1次元が不要になる」ではなく、「1次元も2次元も読める」方向に整える、という点です。
現場の混乱を避けるためには、しばらくの間、両方を扱える状態にしておくことが合理的だからです。
日本でも「2次元コード化=即置き換え」ではなく段階的な併用が現実的
日本の小売現場は、レジの回転率や運用の標準化が非常に重要です。
そのため、2次元コードに一気に振り切るよりも、用途に応じて段階的に併用していく方が現実的です。
たとえば、レジの読み取りは従来通りJANコードを使い、消費者向けの情報提供やトレーサビリティは2次元コードで補う、といった形が増えやすいでしょう。
この形なら、現場は大きく変えずに、追加価値だけを積み上げられます。
事業者側は「番号を増やす」より「情報設計をする」時代に近づく
バーコード枯渇を不安として捉えると、「番号をどう確保するか」に意識が向きます。
しかし今後は、番号をただ増やすだけでなく、
「どの情報をどこに持たせるか」「流通と消費者に何を伝えるか」といった、情報設計が重要になります。
つまり、番号管理は“守り”で、情報設計は“攻め”です。
守りとしてJANコードの運用を整えつつ、攻めとして2次元コードやデータ連携を使いこなす。
このバランスを取れる事業者ほど、将来の変化に強くなります。
よくある誤解と注意点
「バーコードがなくなる」「明日から使えない」という誤解
「枯渇」という言葉だけが独り歩きすると、「もうバーコードの時代は終わるのでは」と感じる人もいます。
しかし、この記事で説明してきた通り、問題は「全体が崩壊する」話ではなく、「枠の中での運用が難しくなる場面がある」という話です。
そのため、誤解を避けるためには、
枯渇=制度の崩壊ではなく、運用の制約が表面化する現象だと理解するのがポイントです。
「JANコードは自由につけていい」という誤解
ネット上では、JANコードを独自に作って貼ってしまうような情報も見かけますが、これは大きなトラブルの原因になります。
JANコードは、流通全体の共通言語として機能するから価値があり、勝手に作った番号は誤登録や衝突を招く可能性があります。
とくにECでは、プラットフォーム側の登録ルールや、他社商品との重複チェックが厳しくなっているため、独自運用はリスクが高いです。
「枯渇が不安だから自己流で何とかする」という方向に行くと、逆に損をしやすいので注意してください。
現場で困ったら「枠を増やす」か「運用を整える」の2択で考えると迷いが減る
番号が足りない、足りそう、と感じたとき、対策は複雑に見えますが、まずは大枠で2つに分けると考えやすいです。
- 枠を増やす:作成できる番号数に余裕を持たせる
- 運用を整える:商品設計や登録ルールを整理して無駄な消費を減らす
この2択のどちらが合うかは、事業の伸び方や商品構成で変わります。
ただ、ここを整理できるだけで、必要以上に不安にならずに済みます。
まとめ|バーコード枯渇は仕組みを知れば必要以上に恐れるものではない
「バーコードが枯渇する」という表現は非常にインパクトがありますが、
実態としては、世界中のバーコード番号が尽きてしまうような事態を指しているわけではありません。
実際には、特定の規格や事業者の運用枠の中で、番号が不足しやすくなる状況を
分かりやすく表現した言葉に近いものです。
JANコードそのものが使えなくなるわけでも、突然すべての商品にバーコードが貼れなくなるわけでもありません。
問題になっているのは、商品点数が増えた事業者や、当初の想定よりSKUが増えたケースで、これまでの運用方法では対応しづらくなる場面が出てきた、という点です。
そのため、バーコード枯渇は「全体の危機」というよりも、
事業規模や商品管理のやり方によって影響の出方が異なる課題だと理解するのが現実的です。
大手企業では管理体制の見直しや運用設計で対応しており、
中小事業者や個人事業主でも、事前に仕組みを理解しておけば十分に対処可能です。
また、QRコードなどの2次元コードが補助的に活用される場面も増えていますが、
現時点ではJANコードに代わって流通の中心になるものではありません。
今後もしばらくは、JANコードを軸にしながら、必要に応じて新しい仕組みを組み合わせていく形が続くと考えられます。
大切なのは、「枯渇」という言葉だけに振り回されるのではなく、バーコードの仕組みや運用ルールを正しく理解することです。
そうすれば、必要以上に不安を感じることなく、自分の事業や商品展開に合った現実的な対応を選ぶことができます。
バーコードは今後も流通の基盤として重要な役割を担い続けます。
仕組みを知り、無理のない形で管理と運用を見直していくことが、これからの時代に合ったバーコードとの向き合い方と言えるでしょう。