あなたの愛犬はお元気ですか。愛犬との関係は良好ですか。
ところで、愛犬とのコミュニケーションについて考えてみたことはありますか。
そもそも、愛犬とのコミュニケーションは可能なのか、どの様にコミュニケーションすればよいのか等について考えてみませんか。
愛犬との生活がさらに楽しくなりますよ。
犬にコミュニケーション能力はある?
犬は、すぐれたコミュニケーションの能力や方法を備えています。
犬は歴史上、人間が初めて家畜として飼育した動物であると言われています。犬と人間との関わりの歴史は驚くほど古く、世界各地に点在する約1万2000年前~3万5000年前の遺跡においては、人間が居住していた住居跡や洞窟の中から犬の骨が見つかったり、犬が人間と共に墓に埋葬されているのが見つかっています。このことから、この時期までには犬は人間とともに暮らし始めていたことが伺えます。
この長い歴史の中で、人間と犬は共に暮らし共に進化を遂げました。狩猟生活などを通して人間社会で暮らすことによって、飼い主と同じことをしたい、共有したいという気持ちが強まり、その結果、人間の表情や視線、しぐさを見、それに応えようとすることによって、コミュニケーションの取り方を取得してきました。と同時に、人間の心や意図を読み取る能力も高度に発達してきたのです。
その能力を引き継いでいるあなたの愛犬も、あなたの視線をじっと見つめていることがあるでしょう。
愛犬は既に、あなたとコミュニケーションがしたいのです。
犬とのコミュニケーションの取り方はしぐさを通して
コミュニケーションといえば、一方通行ではなく愛犬とあなたのキャッチボールのようなイメージが浮かびます。
ここでは、まず、あなたが愛犬からのボールを受け取ることから考えてみましょう。
愛犬のボールは、そのしぐさや様子をあなたが注意深く観察することによってうまく受け取ることができます。
愛犬もあなたと同じように、日によって精神的に安定している時も心穏やかではない時もあります。
愛犬の出すサインを注意深く観察してみましょう。
例1 愛犬があなたに好意をよせているしぐさ
○愛犬があなたに近づいてきて、体の一部を寄せてきたり、そばでゆった
り寝そべったりする。
これは、あなたに安心して、好意を持っているしぐさです。
○近づいて匂いを嗅ぐ
これは、あなたに興味がありますというときのしぐさです。
○撫でていた手を離してもまた寄ってくる
愛犬を3秒なでてから、一旦なでる手を止めて手を離した時、前足で触
ってきたり体をすり寄せてきたりするのはもっとなでて欲しいというし
ぐさです。
○あなたの目の前におもちゃを持ってきて、ポトンと落とす。
これはあなたに好意をもって、遊ぼうと誘っているしぐさです。一緒に
遊ぼうと言われたら、時間の許す限り一緒に楽しみましょう。
○口角を上げて笑っているような表情をする
あなたに対して、心を許している時のしぐさです。ヒトの表情を真似て
いるという説もあります。
例2 愛犬が自分自身や相手を落ち着かせるためにするしぐさ
犬同士や飼い主との不要な争いを避けるために自分の立場や感情を相手に
伝える際の犬に生まれつき備わった非音声的言語があります。カーミング
(自分や相手を落ち着かせる)シグナル(合図)といいます。
そのいくつかを紹介します。
○あくびをする 高ぶった気持ちを抑えたり、相手の興
奮を鎮めるなどの行為
○おしっこをする 自分をさらけ出し、相手を信用して
いるというメッセージ
○おなかを見せる 敵意がないことなどを伝える
○顔を背ける 「私に注目しないで」などと訴えている
○頭を振る 「もういい加減にして」などと訴えてい
る
○弧を描いて近づく 敵意がないことなどを伝える
○視線を外す 「私にストレスをかけないで」などと訴
えている
○舌をペロッと出す 敵意がないことなどを伝える
○地面のにおい嗅ぎ 「私に注目しないで」などと訴えている
○座る、伏せる 興奮しすぎた自分の気持ちを抑えたり
「興奮しないで」と訴えている
○背中を見せる あなたと争う意志はありません!」と
伝える
○伸びをする ストレスを軽減しようとするなどの
行為
○鼻を舐める 敵意がないことなどを伝える
○興奮している2頭の犬のあいだに入る 興奮を鎮めるなどの行為
○前足を片足だけ上げてじっとする ストレスを軽減しようとするなどの
行為
○瞬きが多くなる 「私に注目しないで」などと訴えて
いる
○目を細める 「私に注目しないで」などと訴えて
いる
○ゆっくり動く ストレスを軽減しようとするなどの
行為
愛犬のしぐさや様子を観察することは、単に愛犬のきもちを理解するに留まらず、より良い関係性を築くために大いに役に立つものです。
一方的にこちらの気持ちを押し付けるのではなく、愛犬の意見も聞きながら、お互いの気持ち良いことをしてあげられるのが、愛犬に好意を持たれる人の秘訣です。
犬とのコミュニケーションの取り方はことばを通して
愛犬は、しぐさや行動によって、自分の気持ちや考えをあなたに伝えていることが分かりました。
それなら、飼い主のあなたから人間の言葉で愛犬に語りかけることによって、あなたの気持ちや考えを伝えることはできないものでしょうか。
もちろん、愛犬は「人間語」を話すことはできません。
しかし、語りかける飼い主の「ことば」の意味や感情を理解し、更にそれに対する愛犬の反応を期待することができるのではないでしょうか。そうなれば、コミュニケーションのキャッチボールが成立したことになりますね。
次に、幾つかの例を述べたいと思います。
私の愛犬リズム(シーズー種)は、ラグビーボールの形をしたゴム製のおもちゃ(握るとピーピーと音が出る)の音に合わせて「ウオー」とかわいい声で歌う特技があります。自分で歌いたくなると、くわえてきて、家族の足元にポトンと置いて催促します。もちろん家族は一緒に楽しみ、大いに褒めてやります。
ある日、試みに「お歌うたう?ピッピ持っておいで」と言ったところ、まっしぐらに別室にあった「おもちゃ」のところに跳んでいき、いそいそとくわえてきました。それ以来我が家の定番になっています。
知人の愛犬アズキ(シーズー種)は、始め一匹で飼われていました。社会性を育てるために兄弟がいた方がよいだろうということでもう一匹飼うことになりました。先住犬のアズキは、後輩をやっかむ様子が見られ、行き過ぎる行動も見られました。
ある日、後輩に心臓の病気があることが分かり、知人はそのことをアズキに話し、「だから守ってあげなくちゃ」と語りました。それ以来、アズキは兄貴らしい行動をとるようになり、散歩中にカラスが近づくと追い払ったり、よその犬との間に入ったりしてかばうようになったそうです。
飼い主が語り掛ける言葉の意味や感情は、ちゃんと愛犬に理解されているのです。
まとめ
愛犬とのコミュニケーションが増えることで、愛犬は満足し、幸せホルモンが分泌されます。その結果、ストレスを減らすことができ、心身ともに健康につながるでしょう。
また、飼い主のあなたも同じように健康につながるのです。
犬と一緒に過ごすと、病気が改善したり寿命が伸びることがわかっています。犬のパワーってほんとにすごいなぁと思います。
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