国番号875？その正体と電話に出るべきかどうか

国際電話の着信で「+875」から始まる番号が表示されたら、注意が必要です。これは一般的な国番号とは異なり、国家に属さない特殊な用途の番号だからです。実際にかけ直したり、出てしまったりすることで、思わぬ料金が発生する可能性もあります。今回は「国番号875」の正体やそのリスク、注意点について、最新の信頼性ある情報をもとに解説していきます。

国番号875の正体とその用途

国番号 +875 は、国家に割り当てられた番号ではなく、国際電気通信連合（ITU）によって「海上移動業務（Maritime Mobile Service）」向けに予約された特殊なコードです。この番号は、特定の国家に属していないため、通常の国際電話とは性質が異なります。

かつては Inmarsat（インマルサット）という衛星通信サービスで +871〜+874 番号が使用されていましたが、現在 Inmarsat で正式に利用されている番号は+870 のみです。したがって、+875 は Inmarsat の現行番号ではありません。

875番からの着信への対応と予防策

+875 のような特殊用途の国番号は、一般の電話番号に比べて知名度が低く、違和感を持ちづらいため、詐欺や迷惑電話に悪用されやすいという特性があります。

特に「ワン切り詐欺」などで使われることがあり、着信があるだけで相手に折り返しを促し、通話料金を発生させる手口が確認されています。現時点では +875 番号からの着信が「増加している」と断定できるような統計は存在しませんが、不審な番号からの国際着信には警戒が必要です。

以下のような対応を推奨します：

知らない国際番号（特に +875, +882, +883 など）からの着信には出ない
折り返し電話をしない
着信拒否や番号ブロック設定を行う
スマートフォンの迷惑電話対策アプリを利用する

詐欺被害を防ぐための情報活用と教育

不審な電話番号の情報を確認するには、以下のような番号検索サイトが役立ちます：

また、高齢者やスマートフォンに不慣れな家族にも、詐欺電話の手口と対処法を伝えておくことが非常に重要です。「知らない番号からの電話には出ない」「折り返さない」という基本を共有しましょう。

他の特殊用途国番号との違いと注意点

+875 以外にも、国家に割り当てられていない特殊な国番号は複数存在します。例えば、+882 や +883 も同様に非国家的用途で利用されており、これらは「国際ネットワーク」と呼ばれる VoIP（Voice over IP）サービスなどに使われています。

+882 と +883 は、一般的な携帯通信会社ではなく、特定の通信事業者やサービスプロバイダーが利用する番号であるため、利用実態がわかりにくく、詐欺などに悪用されやすいという共通点があります。これらの番号帯からの着信に対しても、+875 と同様に慎重な対応が求められます。

なお、これらの番号がすべて詐欺に使われているというわけではありませんが、一般消費者にとって馴染みがなく、かけ直してしまうことで不利益を被るケースが多く報告されているのが実情です。

過去の被害事例と教訓

日本国内では、国際電話詐欺に関する消費者センターや警察への相談が後を絶ちません。実際に、「+875 からの不審な着信に折り返してしまった結果、高額な通話料が請求された」という報告が寄せられています。こうした事例から、国際番号に対するリテラシーの重要性が浮き彫りになっています。

また、電話を受けた側が自分の通話明細を確認して初めて異常に気づくことも多く、気づいたときには既に料金が発生しているというケースもあります。こうした状況を防ぐためにも、普段から「通話明細を見る習慣」をつけておくことが効果的です。

企業や団体での対策の必要性

企業や団体の代表番号に国際番号からの着信があった場合、内部の対応が遅れることで被害が拡大する恐れもあります。特に、社内の全スタッフがこのような番号の存在やリスクを把握していないと、安易に通話をつないでしまうことがあります。

そのため、組織内での教育やマニュアル整備も不可欠です。「国番号リストに基づいた着信番号の識別ルール」や「通話ログのチェック体制の構築」など、企業単位でのリスクマネジメントを行うことが望まれます。

将来的な課題と提案

今後も、インターネット通信の普及や通信手段の多様化によって、電話番号の仕組みも複雑化していくことが予想されます。+875のような非国家的な番号は今後さらに増える可能性があり、それに伴って詐欺の手口も高度化していくでしょう。

このような時代に対応するためには、ユーザー自身がリテラシーを高めることが必要不可欠です。各キャリアや国際機関は、利用者に対する定期的な注意喚起とともに、国際番号に関する情報提供を強化すべきです。

また、詐欺被害を未然に防ぐ仕組みとして、スマートフォンのOSレベルで「非国家番号からの着信時には警告を表示する」といった機能の実装も検討されるべきでしょう。

まとめ：+875着信には慎重な対応を

国番号+875は、国家ではなく特殊用途に割り当てられた番号です。現時点で Inmarsat などのサービスには使用されていませんが、その特殊性ゆえに詐欺目的で悪用される可能性があります。

+875 の着信があった場合は、慌てて出たり折り返したりせず、番号を調べて冷静に対応することが大切です。また、身近な人とも情報を共有し、トラブルを未然に防ぐ意識を持ちましょう。