【要介護4と要介護5の違いとは?】介護度の基準・受けられるサービス・生活の違いをわかりやすく解説
要介護4と要介護5は、どちらも介護保険制度における重度の介護が必要と判断される区分に位置づけられています。
名前だけを見ると「4と5で1段階違うだけ」と感じるかもしれませんが、実際には本人の生活の送り方や必要となる介護の内容、家族が担う役割に大きな差が出ることも少なくありません。
たとえば、在宅で生活を続けられるかどうか、介護サービスの組み方、施設入所を現実的に検討するかどうかなど、判断に迷いやすい場面が増えるのもこの介護度の特徴です。
そのため、数字だけで軽く考えてしまうと、後から「想像と違った」と感じてしまうケースもあります。
結論から言うと、要介護4と要介護5の違いは、日常生活における自立度の残り方と、介護がどの程度“常時”必要な状態かという点にあります。
介助があれば成り立つ場面がまだ残っているのか、それとも生活のほぼすべてを介護に支えられている状態なのかが、大きな分かれ目になります。
この記事では、要介護4と要介護5の認定基準の考え方をはじめ、受けられる介護サービスの違い、在宅生活と施設生活の現実的な違いまで、これから介護と向き合う方や、現在の状況を整理したい方にも分かりやすいよう、順を追って解説していきます。
なお、要介護4・5の状態像はあくまで目安であり、病気の種類や認知症の程度、リハビリの状況、家族の支援体制などによって個人差があります。実際にどんなサービスがどれだけ必要かは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら、本人の状態に合わせて調整していくのが基本です。
要介護4・要介護5とは何か
要介護4・要介護5は、介護保険制度において介護が常に必要な状態と判断された区分です。
いずれも身体機能や認知機能の低下が進んでおり、食事や排せつ、移動、入浴といった日常生活の基本動作を自分ひとりで完結させることが難しい状態にあります。
要介護1〜3と比べると、介助の頻度や内容が大きく増え、介護は「補助」ではなく生活そのものを支える役割へと変わります。
本人の状態だけでなく、家族や介護者にかかる身体的・精神的な負担も重くなりやすいのが、この段階の特徴です。
要介護認定の基本的な仕組み
要介護度は、市区町村が実施する要介護認定調査と、主治医が作成する主治医意見書をもとに判定されます。
認定調査では、調査員が本人のもとを訪れ、心身の状態や日常生活の様子を細かく確認します。
調査項目には、立ち上がりや歩行の可否、食事や排せつの自立度、入浴の可否、意思疎通の状況、認知症による影響などが含まれます。
これらの結果は数値化され、コンピュータ判定と専門家による審査を経て、最終的な要介護度が決定されます。
その中でも要介護4・要介護5は、生活動作における介助量が非常に大きい、あるいは見守りや介護が欠かせないと判断される水準に該当します。
また、認定では「できる/できない」だけでなく、日々の生活の中でどれだけ介護に時間がかかっているか、見守りが必要な場面がどれだけあるかといった点も含めて総合的に評価されます。
要介護4に該当する状態の目安
要介護4は、日常生活の大部分で介助が必要な状態ですが、一部の動作では本人の意思表示や簡単な協力が可能な場合があります。
たとえば、声かけに反応して手足を動かせる、支えがあれば立ち上がり動作に参加できる、といったケースが見られます。
ただし、歩行は不安定で転倒リスクが高く、排せつや入浴、着替え、服薬管理などはほぼ介助が前提となります。
認知機能の低下が進んでいる場合は、判断力の低下や夜間の不穏、徘徊などにより、見守りが必要な時間が長くなることもあります。
在宅での生活が可能なケースもありますが、家族の支援に加え、訪問介護やデイサービス、訪問看護など複数の介護サービスを組み合わせることが一般的です。
介護を担う側の負担が大きくなりやすいため、早めに支援体制を整えることが重要になります。
要介護5に該当する状態の目安
要介護5は、日常生活のほぼすべてにおいて全介助が必要になることが多い状態です。
寝たきりに近いケースや、重度の認知症によって意思疎通が困難なケースも見られます。
自力での体位変換や移動が難しく、長時間同じ姿勢で過ごすことが増えるため、褥瘡(じょくそう)の予防や体調管理が重要な課題となります。
食事や水分摂取にも注意が必要で、誤嚥予防や栄養管理など、医療的な視点を含めた介護が求められる場面も増えます。
介護が必要となる時間が長く、見守りも含めた支援が欠かせないため、在宅で生活する場合でも、訪問看護や訪問診療、福祉用具の活用など、専門職の継続的な関与が前提になりやすいです。
状況によっては、介護施設への入所を検討するケースもあります。
要介護4と要介護5の認定基準の違い
要介護4と要介護5は、どちらも「重度の介護が必要な状態」と判断される区分ですが、大きな違いは「自力でできることがどれだけ残っているか」にあります。
見た目には似た状態に見えることもありますが、認定基準では身体機能・認知機能、そして日常生活動作(ADL)の自立度に差がつくことがあります。
ここを一言で整理すると、要介護4は「介助があれば動作に“参加できる場面が残ることがある”」のに対し、要介護5は「生活動作の多くが“全介助になりやすい”」という点がポイントです。
この差が、在宅の続けやすさや、必要な見守り体制、家族の負担感に直結します。
身体機能・認知機能の違い
要介護4では、身体機能の低下はかなり進んでいるものの、部分的に残っている機能を活かせる可能性があります。
たとえば、声かけによって手足を動かせる、支えがあれば立ち上がり動作に参加できる、意思表示がある程度できる、といったケースが該当します。
一方、要介護5では、身体機能・認知機能ともに著しく低下していると判断されることが多く、
自力で体を動かすことが難しかったり、意思疎通が難しかったりするため、常時見守りと全面的な介助が必要になりやすい状態と位置づけられます。
端的に言うと、要介護4は「介助を受けながら一部参加できる余地が残ることがある状態」、要介護5は「介助なしでは生活が成り立たない場面が増えやすい状態」という違いがあります。
日常生活動作(ADL)の自立度の差
日常生活動作(ADL)とは、食事、排せつ、移動、入浴、着替えなど、生活を送るうえで欠かせない基本的な動作を指します。
このADLの自立度が、要介護4と要介護5を分ける重要な判断材料になります。
要介護4の場合、ADLの多くで介助が必要ですが、「介助があれば何とかできる」場面が残ることがあります。
たとえば、食事は見守りや部分介助で可能、移動は車いすでの介助移動ができる、排せつは誘導や一部介助で対応できる、といった状態です。
これに対して要介護5では、ADLの多くが全介助となりやすいです。
食事は介助による摂取、排せつはおむつや全面介助、移動はベッド上中心で体位変換も介助が必要、入浴は機械浴や全面介助が前提となるケースが多くなります。
まとめると、要介護4は「介助付きで一部動作が成立する段階」、要介護5は「生活動作の多くを介助に依存する段階」というイメージです。
この違いが、受けられるサービスの内容や、在宅か施設かといった生活環境の選択にも大きく影響してきます。
受けられる介護サービスの違い
要介護4と要介護5では、利用できる介護サービスの「種類」そのものに大きな差があるわけではありませんが、利用のしかた・前提となる生活環境に違いが出てきます。
とくに在宅での生活が現実的かどうか、施設サービスをどの程度検討するかという点で、介護度による差がはっきり表れます。
要介護4で利用できる主な介護サービス
要介護4では、在宅生活を前提として、複数の介護サービスを組み合わせて利用するケースが多くなります。
身体機能や認知機能は大きく低下していますが、状態によっては自宅での生活を維持することが可能なためです。
主に利用されるサービスには、訪問介護(身体介護・生活援助)、訪問看護、訪問リハビリ、デイサービス(通所介護)、ショートステイなどがあります。
たとえば、平日はデイサービスを利用し、朝夕は訪問介護で身支度や排せつ介助を受け、家族の負担軽減のために定期的にショートステイを使う、といった組み合わせが一般的です。
要介護4では、本人の残存能力を活かしながら介助を加えるという考え方が重視されます。
そのため、在宅での生活を続けるためには、ケアマネジャーと相談しながら、無理のないサービス計画を立てることが重要になります。
要介護5で利用できる主な介護サービス
要介護5になると、日常生活の多くで介助が必要になるため、在宅介護の負担が非常に大きくなる傾向があります。
在宅サービスを利用しながら生活を続けることも可能ではありますが、施設サービスの利用を検討するケースが増えるのもこの段階の特徴です。
利用されるサービスとしては、訪問介護や訪問看護などの在宅サービスに加え、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院といった入所系サービスが選択肢になります。
特に、医療的ケアや常時見守りが必要な場合は、専門職が常駐する施設のほうが安心できるケースも少なくありません。
要介護5では、本人の安全確保や健康管理が最優先となるため、「どのサービスを使うか」よりも「どの環境が適しているか」を重視した判断が求められます。
ただし、在宅での支援体制が整っている場合など、要介護5でも在宅生活を継続する例もあります。
支給限度額と自己負担の違い
介護保険では、要介護度ごとに1か月あたりの支給限度額が定められています。
要介護5は要介護4よりも支給限度額が高く設定されており、より多くの介護サービスを利用できる仕組みになっています。
ただし、支給限度額が高いということは、それだけサービス利用量が増えやすいということでもあります。
介護保険の自己負担割合(原則1割、所得に応じて2割・3割)に応じて、結果的に毎月の自己負担額が大きくなるケースも少なくありません。
要介護4では、在宅サービス中心で支給限度額内に収まることもありますが、要介護5では施設利用や訪問回数の増加により、経済的な負担も含めた検討が必要になることが多くなります。
不安がある場合は、ケアマネジャーに「月の利用見込み」と「自己負担の目安」を確認しておくと、後から慌てにくくなります。
このように、要介護4と要介護5では、利用できるサービスの種類以上に、サービスの使い方・生活の前提・費用面に違いが生じます。
介護度に応じて、無理のない選択をすることが、本人と家族双方の負担を軽減することにつながります。
生活面での違いと介護の負担
要介護4と要介護5の違いは、制度や数字の上だけでなく、日々の生活の現実に大きく表れます。
とくに在宅で生活できるかどうか、家族の関わり方がどの程度必要になるかという点で、介護の重さは大きく変わってきます。
在宅介護の場合の違い
要介護4では、家族のサポートと介護サービスを組み合わせることで、在宅生活を維持できるケースが一定数あります。
たとえば、日中はデイサービスを利用し、朝夕は訪問介護で身の回りの介助を受けることで、家族がすべてを担わずに生活を続けることが可能です。
一方、要介護5になると、日中だけでなく夜間も含めて常時介護や見守りが必要になる場面が増えます。
寝返りや体位変換、排せつ介助、誤嚥や転落のリスク管理など、短時間でも目を離せない状態になることが多く、家族だけで支えるのは現実的に難しくなっていきます。
そのため、要介護5では在宅介護を続ける場合でも、訪問介護や訪問看護の回数を増やしたり、夜間対応を含めた体制を整えたりと、介護環境そのものを大きく見直す必要が出てきます。
あわせて、福祉用具(介護ベッド、体位変換用具、手すりなど)や住環境の調整も、負担軽減に直結します。
施設入所を検討する目安
介護をしている中で、次のような状況が重なってきた場合は、施設入所を検討するひとつの目安になります。
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24時間の見守りが必要になった場合
夜間も含めて介助や対応が必要になり、家族が十分に休息を取れなくなってきたときは、無理を続けない判断が重要です。 -
夜間介助や呼び出しが頻回になった場合
睡眠不足が続くと、介護者の体調や精神状態にも影響が出やすくなります。 -
医療的ケアが増えてきた場合
経管栄養、たん吸引、褥瘡ケアなど、専門的な対応が必要になったときは、医療体制が整った施設のほうが安心できるケースもあります。
要介護5になると、特別養護老人ホームや介護医療院など、常時専門職が関わる施設を選択する家庭が増えていきます。
これは「在宅ができないから」と決めつけるのではなく、本人の安全と家族の生活を両立させるための選択肢のひとつとして捉えることが大切です。
家族の介護負担の違い
要介護4の段階でも、介護は決して楽ではありませんが、要介護5になると、身体的・精神的な負担はさらに大きくなりやすいです。
介助量が増えるだけでなく、「常に気を張っていなければならない状態」が続くことで、心身の疲労が蓄積しやすくなります。
とくに問題になりやすいのが、介護離職や介護者の体調悪化です。
仕事と介護の両立が難しくなったり、十分な休息が取れずに共倒れになってしまったりするケースも少なくありません。
そのため、要介護5に近づいてきた段階では、「まだ何とかなる」ではなく「今後どうするか」を早めに考えることが重要です。
ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、利用できる制度や選択肢を整理しておくことで、いざというときの判断がしやすくなります。
生活面での違いを正しく理解し、家族だけで抱え込まない体制を整えることが、本人にとっても介護する側にとっても、長く安心して過ごすための大切なポイントになります。
要介護4から要介護5に変わるケース
要介護4と認定されている方でも、体調や生活状況の変化によって、要介護5へ区分変更されることがあります。
これは決して珍しいことではなく、加齢や病状の進行に伴って段階的に起こり得る変化です。ここでは、どのようなきっかけで区分が変わるのか、またその際に知っておきたい手続きのポイントを整理します。
状態悪化による区分変更の例
要介護4から要介護5に変わる代表的なケースとして、まず挙げられるのが身体機能の急激な低下です。
たとえば、転倒による大腿骨骨折や脊椎圧迫骨折をきっかけに、歩行や立ち上がりがほぼ不可能になり、日常生活全般で全介助が必要になることがあります。
また、認知症の進行も大きな要因です。要介護4では、ある程度の意思疎通が可能な場合もありますが、症状が進むと意思表示が難しくなり、常時見守りや対応が必要になることがあります。徘徊や昼夜逆転、食事拒否などが増えると、介護負担は一段と重くなります。
さらに、病気の再発や合併症によって寝たきりに近い状態へ移行するケースもあります。脳血管疾患の後遺症が悪化したり、心不全や呼吸器疾患の影響で体力が大きく落ちたりすると、体位変換や排せつ、食事まですべて介助が必要になります。
このように、要介護5への変更は「急な出来事」が引き金になることもあれば、「少しずつできないことが増えた結果」として判断されることもあります。日々の変化を見逃さず、生活全体を見たうえで判断されるのが特徴です。
区分変更申請の流れと注意点
要介護度は原則として更新期間がありますが、状態が明らかに変わった場合は、更新を待たずに区分変更申請を行うことができます。
これは「今の介護度では必要なサービスが足りない」「生活に合っていない」と感じたときに活用できる制度です。
申請の流れとしては、市区町村の介護保険窓口に区分変更申請を行い、再度認定調査と主治医意見書をもとに審査が行われます。
調査では、現在の身体状況や認知状態、介護にかかる時間や内容が詳しく確認されます。
このとき重要なのが、実際の介護の大変さを正確に伝えることです。「できるときもある」ではなく、「できない場面がどれだけ多いか」「常時見守りが必要か」といった点を、日常の具体例を交えて説明することが、適切な判定につながります。
また、家族が無理をして“できているように見える”状態になっていると、負担が反映されにくいこともあるため、普段の様子を具体的に伝えるのがポイントです。
区分変更を考える際は、早めにケアマネジャーへ相談することが非常に重要です。ケアマネジャーは申請手続きのサポートだけでなく、認定結果を見据えたサービス調整や、施設入所の選択肢についても一緒に整理してくれます。
状態が悪化してから慌てて対応するのではなく、「少し厳しくなってきた」と感じた段階で動き出すことで、本人にとっても家族にとっても無理のない介護環境を整えやすくなります。要介護4から5への変更は、生活を守るための前向きな手続きとして捉えることが大切です。
まとめ|要介護4と要介護5の違いを正しく理解する
要介護4と要介護5の違いは、単なる数字の差ではなく、日常生活における自立度と、どの程度まで介護が常時必要かという点にあります。
要介護4では一部に残された能力を活かしながら生活を続けられる可能性がある一方、要介護5では、生活動作の多くで全介助が必要になりやすく、介護体制そのものを大きく見直す必要が出てきます。
そのため、要介護5に近づくほど、在宅か施設か、どのサービスをどう組み合わせるかといった判断が、本人や家族の生活に直結する重要なテーマになります。
介護度が上がること自体を過度に不安に感じるのではなく、今の状態に合った支援を受けるための目安として捉えることが大切です。
大切なのは、「どちらがより大変か」を比べることではなく、現在の状態や将来の変化を見据えて、無理のない介護環境を整えることです。
介護保険制度や各種サービスを正しく理解し、ケアマネジャーなど専門職の力も借りながら、本人と家族の生活が少しでも安定し、安心して続けられる選択につなげていきましょう。


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